妊娠初期③〜点滴の恐怖
私が注射嫌いな理由は二つある。
一つは、血が苦手なこと。
自分の鼻血と生理以外の出血は、身体が震えてしまうほど。他人の血は一切ダメ。
もう一つの理由は、よく看護師さんに失敗されてしまうこと。
この妊娠を通じて言われまくったのだが、私はどうも血管が物凄く細いらしい。赤ちゃん用の針で打つこともしばしば。あまり注射が得意ではない看護師さんが打つと、2回3回はやり直しすることもザラ。
悪阻の点滴のみだと、大体8時間くらいで投与が終わる。毎日のことなので、針の先は腕に刺したまま、4日毎に交換するのが通常のスタイルらしい。
しかし私の腕は、血管が細いことが原因なのか、とにかくすぐに血管がパンパンに腫れ上がってしまうのだった。入院して2週間もすると、普通は4日持たせるはずの針も、1日持たなくなるようになってしまった。
分かりづらいかもしれないが、手首と肘の下の太さが全然違う。とにかく腫れ上がって、夜眠れなくなるほど痛かった。
もうそれからは看護師さん泣かせの日々。寧ろ、1本で1日もてばいい方。
いくら一瞬の痛みとはいえ、1日に3本も4本も打つのはやっぱり痛いし、何より日に日に腕が穴だらけになっていく。左右の腕を交互に変え、血管を休めながら注射した。
つわりでただでさえ苦しいのに、この注射がとにかくストレスだった。妊娠がこんなに辛いものだとは思わなかった。感情が全てマイナスになり、毎日泣いていた。死にたいとさえ思う日もあった。5月6月は笑った記憶がない。そのくらい壮絶だった。
しかしこの状態すらも、まだこの先に待ち受ける更なる苦難と比べれば、まだ序の口なのである。